企画をする上で、マクロ(鳥)視点とミクロ(虫)視点を往復して考えることを意識するようにしています。
マクロ視点で考えるために活用するフレームワークが、これからご紹介するPEST分析。
PEST分析とは?
PEST分析は、政治要因、経済要因、社会要因、技術要因の4視点で分析をするフレームワーク。
企業を取り巻く環境をマクロ(大きい視点)に分析し、自社のビジネスにどのような影響を与えるのかを把握するのに役立ちます。
健康経営をPEST分析してみる
最近注目を集めている健康経営というキーワード
最近の傾向として、経済産業省が健康経営銘柄を指定し、ローソン、吉野家といった企業が健康経営を戦略に組み込みはじめています。
海外を含めて、「健康経営」というキーワードを取り巻く環境はどのような変化が起きているのでしょうか?その全体像を把握するために、PEST分析を活用して市場分析をしてみました。
①健康経営を取り巻く政治的要因
政治的要因は、政府の方針、法律改正、規制強化・緩和、外交問題の変化などが含まれます。
健康経営にまつわる変化は下記のような事象をピックアップできます。
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運営元は、経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課
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現在、高齢化の急速な進展に伴い、疾病全体に占めるがん、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習慣病の割合が増加傾向です。また、死亡原因でも生活習慣病が約6割を占めている状況です。
生活習慣病は国民医療費の約3割を占め、死亡原因の6割を占める
②健康経営を取り巻く経済的要因
経済的要因は、景気動向や企業活動の変化などが含まれます。経済指標が大きく変化している、企業による大型買収が行われたなどが当てはまります。
①国民医療費の増加
年間の国民医療費が2016年に40億を超える。医療費は年々増加している。
②民間企業がヘルスケア領域を戦略に取り入れる
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GEやIBMなどが企業向けの健康支援サービスに参入する可能性は十分にあり得る。
③健康経営を取り巻く社会的要因
社会的要因は、人口動態の変化、ライフスタイルの変化、価値観の変化などが含まれます。関連サービス、トレンドキーワードなどが当てはまります。
①スマートフォンやウェアラブル端末の普及
HealthKit(iOS)、Google Fit(Android)などが組み込まれたデバイスを身につける人が増加することで、個人の健康データが蓄積されやすい環境が整ってきている。
②ヘルスケアテック分野のベンチャー企業の台頭
日本で一番元気が良い企業はFiNC
様々な企業向けプログラムやツールは出てきているが、社員が健康であることを経営の中で重要な位置づけとして示し、組織文化に浸透させることが第一フェーズとして必要という印象。
③美容・健康関連の新サービスが台頭
ライザップ、24時間フィットネスなどのビジネスパーソンをメインターゲットとした美容・健康支援サービスが話題になっている。
④マインドフルネス経営、ロハス経営といったキーワードが台頭
Googleがマインドフルネスという言葉をブームにする。一部のビジネスパーソンでは禅やヨガなどを生活や仕事に取り入れて話題になる。
④健康経営を支える技術
技術的要因には、新技術の誕生、普及による市場の変化が含まれます。変化を支える技術が何かを捉えていきます。
①センサー技術
ウェアラブルデバイスの普及・IoT化はセンサー技術が支えとなっている。
②人口知能を活用した解析技術(ゲノム解析、医療データ解析など)
ITを活用した健康維持、生産性向上、重症化予防などの介入の効果を検証する動きは、あらゆるところで出てきている。
センサー技術で健康データを取得→人口知能を活用して解析という流れが一般的なものになりつつある。
人工知能・機械学習のメリットは、人の思い込みや先入観に依存しない判断ができること。医療分野では、医師の思い込みによる見逃し、判断ミスが命に関わってくる。
※人口知能活用の課題
人工知能で大事なのは計測データの規格統一。データに適切なパラメータをふり分類できないと自動学習は進まない。病院経営にデータを管理・分析できる人材が不足していることは課題だと考えられる。
③VR・3Dプリンター・遠隔コミュニケーション
これらの技術は、医師の学習支援、効率化に貢献する可能性が高く、現段階でも業務に取り入れられている。
PEST分析からの「健康経営」課題定義
政治・経済・社会・技術視点で分析をして、そこから課題定義や今後の市場予測を言語化します。
(例)
・医療施設のデータ化を推進する環境がグローバル水準で遅れている。その結果、技術の進化を医療経営に取り込むことができない。
・保険診療は医療施設としては儲からないため自費診療へのシフトが進む。その結果、予防医療の分野の進化が遅れる。
・法人向け医療サービスはセキュリティレベルがもう一歩求められる。例えば、個人向け遺伝子検査がパッケージ化され、誰でも受けられるようになっているが、遺伝子情報をどのように守るか、だれが責任をもって解析するのかといった課題がクリアできなければ興味本位で受診して終わる。労務管理や福利厚生のあり方に変化が求められる可能性がある。
・健康チェックサービスはこれまでも展開されてきましたが、医療行為との間にあたるグレーゾーンをどのようにカバーするかは行政が5年近くかけて取り組む必要がある課題がある。
PEST分析を仕事に活かす
・BtoB営業では、クライアントの外部環境を理解した上で議論ができる
・WEBコンテンツを作成する際も、PEST分析をした上で社会全体が求めているものを特定することができる
上記のようなメリットがあるかなと考えています。
マクロ視点を忘れずに企画をするための参考までに!