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【Break the bias】バイアスをこわして創造性の高い思考をつくるためのアプローチ

ダイヤモンドでノベーターとして有名なZIBAの濱口秀司さんと、マーケット感覚を身つけうの「ちきりん」さんが、創造的な思考プロセスについて対談をしていました。

最も創造性が高い思考のモードは、論理と直感の間にある

http://diamond.jp/articles/-/74287


創造性の高い思考モードは、論理と直感の間にある。
創造性が高い思考モードの図




自分の思考プロセスを認識した上で、バイアス(制約)を外し、理想の状態をつくる。

これは、学習する組織で紹介されているシステム思考の考え方と同様だと思います。

リーンスタートアップやUXデザインにおいて、様々な方法論が紹介されていますが、すべて「個人と組織の思考プロセスをどのようにコントロールするか」ということに集約されるのではないでしょうか。

濱口さんが提唱されているイノベーションを生み出すための思考「Break the bias」の理解を深めようと、より良い思考プロセスをつくるために、できることを簡単にまとめてみました。


Break the biasを学ぶための濱口さん講演動画

このTED動画はイノベーションの思考プロセスを理解するために必見です。





Break the biasを実践するために活用するフレームワーク

濱口さんの考え方として紹介されているのは、1.2×2マトリックスのフレームワークが多いと思います。2.挙動パターンの図 3.免疫マップはBreak the biasを実践する際に活用できるかなと思っています。


  1. 2×2マトリックス
  2. 挙動パターンの図
  3. 免疫マップ


フレームワーク図をもとに紹介していきます。


① 2×2のマトリックスで整理してポジションをズラす


おもしろい企画を考えることで紹介した図です。

アイデアはマトリックスで構造化して見える化する


濱口さんの考え方の基本原則は「見えないものは壊せない」
アイデアや事象は、そのままでは見えない。マトリックスで縦軸・横軸にタグ付けをして、ポジショニングを考えることで動かせるようになります。


東京大学i.schoolの濱口さんワークショップのムービーが、バイアスを壊すためのプロセスがわかりやすく整理されています。


バイアスを壊すプロセス



  • 典型的な(切り口はなんでもアリ)を5つ挙げポンチ絵にせよ。
  • ポンチ絵を共有し、いいものはパクる。そしてすべてを一つのダイアグラムにせよ。
  • ダイアグラムを共有し、バイアスを探れ。
  • バイアスを壊すアイデアを5つ創れ。
  • アイデアを集めて軸にせよ。
  • アイデアが面白い+軸が面白いものを二つ選び、2by2の座標にせよ。
  • アイデアがおもしろければOK!あとはその2by2における可能性を探れ。







② 挙動のパターンを把握してこわす


システム思考を実践するには、まず、行動がどのように互いを強めたり、打ち消したり(バランスをとったり)するかを示す、「フィードバック」と呼ばれるごく単純な概念を理解することだ。これが、何度も繰り返し生じる「構造」の型を学ぶ基礎となるのだ。



学習する組織 挙動パターンの図

挙動のパターン図の活用方法


①状況と、成長させる行動、減速させる行動、制約条件の欄に記載

②状況を分析する際には、下記4つの質問を自身や組織に対してしてみる


  1. 状況をより良くし、さらにレバレッジを得る方法は何か?
  2. 制約条件は状況にどのような影響を与えているだろうか?それを変えることはできるだろうか?
  3. 問題のすり変わりが行われていないだろうか?
  4. 成功要因は何だろうか?

ZIBA濱口さんが言っている、「バイアスをこわす」というのは、状況を取り巻く環境を分析して、循環を妨げているものを特定して変える、ということなのだと思います。






③ 免疫マップから裏目標を読み取り、阻害行動を変える

大半の経営の状況における真のレバレッジは、種類による複雑性ではなく、ダイナミックな複雑性を理解することにある。

免疫マップ なぜ人と組織は変われないのか

なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践
で紹介されている免疫マップ。

組織変革のアプローチとして下記のようなプロセスが紹介されています。


  1. 改善目標」   (例:他の人を深く理解しようとする姿勢を身につける)
  2. 阻害行動」   (例:いったん方針を決めると、他の人の意見には耳を貸さない)
  3. 裏の目標」   (例:自分がヒーローになる)
  4. 強烈な固定観念」(例:自分がヒーローにならないと深い満足感を味わえない)


阻害行動を特定して、その行動の裏にある「強烈な固定観念」を認識してから改善行動をとる。

システム思考で紹介されることの多い、氷山モデルの考え方と同様ですね。
事象の背後にある、人の思考まで掘り起こして、解決策を考えることが重要ということ。



なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践





まとめ


  • 人と組織にはバイアス(制約)がかかっていると自覚すること
  • バイアスはフレームワークを活用して見える化する
  • 見える化して、動かして、バイアスをこわすアクションにつなげる


フレームワークを活用するだけでは絶対にうまくいかない。おもしろいことを思いつくだけでもうまくいかない。

様々な方法論を知っていて、本質を導き出すためのトレーニングをたくさんしている人がイノベーションを生み出せるのだと思います。


本質的なエッセンスだけを抽出し、その部分だけで全体のコンセプトが表現できるか、ということにトライする。そこにクリエィティビティが生まれるってことですね? 反対に論理型思考の人は、すべてを分解し、何も捨てずにまたすべてを正確に組み立てる。そうじゃないと再現できないと考えているから、単純化なんてもってのほかだと。だけどそれだと、「本質」はどの部分なのか、と特定し、先鋭化させることができない。

濱口 今って、いろいろな方法論を知っているかどうかがすごく差別化のキーになる時代なんですよね。アイデア一発で成功できる時代じゃないんです。普通の天才には、受難の時代ですよ。

ちきりん 「方法論を知ること」と「再現性の確保」がどう違うのかも興味深いですが、「普通の天才」って言葉もおもしろいですね。普通じゃないから天才って呼ぶのかと思ってました。それってどんな人のことですか?

個人でも組織でも、自分たちの思考プロセスに向き合っていきたいですね。


最も困難な経営上の問題を理解するためには、その問題を生み出しているシステム全体を見る必要がある。

参考記事


世界的イノベーターの人生を方向づけた仮説とは 【特別対談】濱口秀司×ちきりん(2)
http://diamond.jp/articles/-/74290 

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