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伊右衛門のコンセプトメイキング

お茶と言えばサントリー伊右衛門。

日本人にとってのお茶の本質を言語化、概念化して完成した伊右衛門のプロダクト、クリエイティブ等の開発プロセスが面白かったので共有。

「イノベーションの作法」にて紹介されています。

 

本の中にサントリー伊右衛門のイノベーション物語が紹介されています。

その中でも、日々のマーケティング業務、クリエイティブ作成に活かすことのできそうな
2つの工夫について。

①メタファーを活用したユーザー調査
②潜在意識をコンセプトへ落とし込む

①メタファーを活用したユーザー調査

伊右衛門の開発にあたり、よくあるユーザー調査にある定型的な質問ではなく、
開発チームはこんな質問をした。

引用します。

答える側の思考を刺激し、潜在意識をあぶり出すような設問に知恵を絞った。例えばこんな質問だ。
「急須で入れたお茶は、あなたにとってどんな存在ですか。人・モノ・動物等に喩えてください」
「お茶を飲んだことのない外国人に急須で入れたお茶の味を誉めるとしたら、どのようにいいますか」
「『今日から一年間、急須で入れたお茶をいっさい飲んではいけない』」という法案が可決されます。あなたは国民の代表として、緑茶を飲み続けることができるように反論しなければなりません。どのように反論しますか」

答えにくい質問でも、というよりは答えにくい分、多くのモニターたちがネットの向こう側の見えない質問者に向けて懸命に答えを考えてくれた。「外国人にお茶の味を誉めるとしたら」の質問には、「五感を駆使して感じる自然のおいしさ。日本の豊かな自然を感じさせる一品」イノベーションの作法 p58
 ユーザーの潜在意識を掴むためには、「深い問い」が必要。
インタビュー方法や、定量的なデータを集めるだけで終わるのではなく、コンセプトを掘り下げるような質問を考え、共有することで
差別化要素の発見につながる可能性があるのではないでしょうか。

②ユーザー調査から共通のテーマを設定

上記のメタファーから設定したのは『大人の哺乳瓶』というメタファー。
このコンセプトから、あの独特のフォルムと、誰もが記憶にあるだろうCMが生まれた。

働く大人の哺乳瓶。
働く男が帰りたくなる家。

この2つのテーマを考えながら、CMをみてみる。


シリーズを通して見ると、その完成度の高さに驚かされる。

ほとんどの人が「仕事中の一息」として、お茶飲料や缶コーヒーを飲んでいたが、そのときの心理を掘り下げて、最後に「大人の哺乳瓶」というイメージにたどり着いた。ホッとする時間、へこんだときにそばにいて欲しい人、癒し、安らぎの場・・・と連想をたぐっていって、「働く男が帰りたくなる家」という伊右衛門のCMテーマが決まったのだ。


ユーザー調査で理解した、顧客の潜在意識を「大人の哺乳瓶」というコンセプトに落とし込んだチームあっぱれです。

現場への活かし方

①質問の方法
プロダクトやサービスにまつわる暗黙知を掘り起こすための質問をする。
そのために、質問にメタファー(喩え)や場面設定を使うなど工夫し、答える側も自身の原体験を反すうしないと答えられないような問い方をする。

②チーム全体で共有言語を設定
納得のいくキーコンセプトを設定する。
ユーザー調査で満足しない、分析して満足しない。

競合調査やデータ分析により、相対的な価値を見出すことだけではなく
本質を追求して、プロダクトやサービスの絶対的な価値を発見していきたいものです。


伊右衛門の開発は、なぜ成功したのかを考えたときに
日本人にとっての緑茶の真・善・美に目を向け、緑茶飲料の理想を追求するチームの姿勢が根本にあったことを忘れてはいけないと思います。

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