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辺境から世界を変える--ソーシャルビジネスが生み出す「村の起業家」



我々はこの変わりゆく世界にどう関わっていくことができるのだろうか。眺めるだけなのか、寄付を投じるのか、ボランティアとして参画するのか、ビジネスを行うのか。それとも、問題の当事者たちとともに立ち上がるのだろうか。

ソーシャルビジネスの勉強ではなく、自分自身の社会との関わり方を見つめなおすために読んでみました。

本書では「社会システムの変革」と「市場の転換点となるビジネスモデルの創出」という2点の選定基準から、ソーシャル・ビジネスの最新事例が紹介されています。
事例紹介で終わらず、成功するための仕組みが理論的にも考察されているため、ストンと理解しやすい内容になっています。

 読書からの学び

「協働の仕組みをデザインすることで人材の野性的な強さを引き出す」

「問題の当事者」だからこその創造力を発揮しやすいような、環境をつくり出すことが、社会起業家の仕事に大切なこと。
サービス提供側のエゴが強いとまわりを巻き込めない。自分が何かやってあげよう、何かをつくりだそうという気持ちはNG。


例えば、一つの事例の成功要因としてこのようなことが書かれている。
『ジェマたちが成功したのは、当事者が資金調達から管理まで、自ら事業を立ち上げていくという前提に立って、側面支援だけをする、ということに徹していたからだった。』


「当事者と支援者の協働の仕組みをデザインする」
という発想に切り替えることが大切になってくる。

個人的にはP212の『業界のデザイン』の4パターンの中で、特に①スケールアウト型の展開が非常にためになったためメモ。
貧困層をサービスの担い手として取り込みながら、事業を拡大させるモデル。「村の起業家」をサービスの担い手として取り込むことで、規模の拡大を実現してきた。住民を顧客としてではなく、サービスの主体者として扱うことで、持続可能なインフラの運営の在り方を実現してきた。

紹介されているどの事例にも共通していることだが、起業家精神をもって関わってもらうことが何より大切なのだと感じる。

途上国におけるソーシャルビジネス成功のキーワードは
『人材の野性的な強さ』
当事者は支援者以上に危機意識をもってビジネスを支える。

当事者との関係性を築き、そこにイノベーションの火種をみつけ、当事者自身が起業家精神を持ち続けられるような仕組みをつくることは、ソーシャル・ビジネスを考える上で大きなヒントになるのではないでしょうか?

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