昨年の4月からNPO法人ぱれっとが運営する、障害のある人とない人がともに暮らす家いこっとに暮らし始めて、来月で1年が経ちます。
いこっとの入居者に支えられて、一人暮らしでは経験できないような豊かな暮らしをさせてもらっているなと自分でも感じています。
きょうは、この1年のシェアする暮らしを振り返ってみようと思います。
いこっとが立ち上がった背景
いこっとは知的障害者と健常者がともに暮らす家。
障害のある人にとって、親亡き後の生活は施設に入居するという選択肢をとることがほとんどです。
なぜかというと、一人暮らしするという選択肢がないから、環境が整っていないからです。
いきなりの一人暮らしとなると、知的に障害のある方にとって、食事、お金の管理など難しい部分がでてきます。
そこで、シェアハウスで健常者とともに暮らすことで、お互いに生活の中で困っていることを助け合う関係性を築きながらも、障害をもった方でも自立した生活ができるようにというアイデアをもとにいこっとが立ち上がりました。
詳しくはいこっとホームページを参照
多様な人が一緒に暮らすことについて
多様な人が同じ家で暮らすということはそんなに簡単なことではありません。障害をもっているもっていないに関係なく、他者を尊重し配慮しながら生活をつくっていくとなると、様々な壁にぶつかります。
・掃除をやる人に偏りがでてきてしまって不満がたまってしまう
・共有スペースの使い方に個人差があり、認識のズレから喧嘩になってしまう
問題も毎月のように出てきます。
問題の原因のほとんどが、コミュニケーションがとれていないこと。。
悩みを一人で抱え込んでしまったり、相談しないまま自分の考えで進めてしまったり。。
多様な人が暮らしているからこそコミュニケーションが大切になってきます。
生活に馴染んだコミュニケーションの大切さ
いこっとは障害のあるなしに関係なくお互いが助け合う暮らし。
お互いが支え合うには、コミュニケーションをとることが何よりも大切です。
ただ、コミュニケーションといっても、相談にのったり、会議をしたりといった大袈裟なものでなくていいと思います。
「おはよう」
「きょうの仕事はどうだった?」
「土日は何するの?」
このようなゆるい会話だけでもいい、生活の中に馴染んだコミュニケーションがあるだけで、気持ちが上向きになったりすることが誰にでもあるはずです。
自分自身を振り返っても、「最近朝ご飯食べてる?」「ちゃんと寝れてる?」といった声かけがものすごくうれしくて、安心したりします。
逆に、このようなゆるい会話がなくなると、少し不安になったり、孤独を感じてしまうことも(大袈裟かもしれませんが・・・)
毎日少しづつでも、お互いを気にかけ、声を掛け合う。
1年間を振り返って気づいたのは、当たり前を実践できていない自分。
生活の中で少しだけでも他者を気にかけ声かけをする。
この当たり前のことを意識するだけで生活は豊かなものになるのではないかと思います。
共有スペースとコミュニケーション
1Fは共有スペースとなっており、2F、3Fは入居者それぞれの個室となっています。
共有スペースでの団らんでコミュニケーションをとり、お互いに助け合うことのできる関係性を築くことが目的となっています。
ただ、皆がこの共有スペースにいるわけではなく、部屋に戻る人もいれば、頻繁に外出をする人もいるので、いつも顔を合わせられるわけではありません。
地域とのコミュニケーション
地域はコミュニケーションの場として機能させることはできないのかと考えています。
入居者同士の関係性をつくることはもちろん、地域住民とのつながりは今後考えていきたいところです。
自分の中でコミュニティの原点として考えているのがスリランカ
一歩家の外に出ると、近所のおばちゃんが外にいて、気軽に会話ができる。
少し歩くとヤシの実をきっているおじさんがいる。
生活の中に仕事があり、仕事の中に生活があり、仕事にも生活にも遊びが含まれている。
そんな地域との関わり方ができれば、もう少しコミュニケーションの幅も広がりそうです。
僕たちの世代は生活にもイノベーションが必要だと思います。
次の1年も豊かな暮らしを、多様なひととのつながりの中から考えていきます。
関連リンク
・森栗茂一のコミュニティ・コミュニケーション
・「コミュニティの鍵は貢献にある」
・家を建てるだけで終わりじゃない!”ご近所づきあい”までもデザインする建築プロジェクト「いえつく」