表象の芸術工学
最近は、ノウハウ系の本に偏っていたこともあり、内容は想像つかないけど読んでみようとAmazonでワンクリック!
「デザイン」とは何かを考える
視覚表現の歴史は、人がどのように物事を解釈してきたかの歴史。デザインとは何か?を考え直す上で確かに必読!だと感じました。「デザイン」とは20世紀の初めから始まった造形アートの一部門というものではありません。近代科学の歴史よりもはるかに多くの時間をかけてできたものを、今われわれは、どこで何を調べて知ることができるのかもわからない状況に置かれているのだということが、改めてよくわかります。
言葉、文字、視覚的に表現された絵、編集された本、辞書を素材に視覚文化を読み解いていく。
キーフレーズを拾ってみました
デザイン思考好きの方々には、刺さる言葉が盛りだくさんだと思います。分野、歴史を横断してデザインを読み解いていく講義の内容に呑み込まれて
いっきに読み終わってしまいました。
・ミッキーマウスがふんぞりかえっている、あのアングルは何か!
・見世物を研究せずして何が近代視覚文化論か。
・江戸の黄表紙は吹きだしのない現代のマンガだ。
・オランダの文化を解く鍵は、まさに「描写」への欲望である。
・マンガの元祖、カリカチュアは「観相術」にはじまる。
・魔術的思考が終わったとき近代合理主義が出発する。
・お金は典型的な表象記号です。
・マニエリスムの時代はコレクション文化の絶頂期である。
・近代というのは視覚の専制の世界です。
・見る営みはじつはきわめて政治的なものだ。
・鏡に映し、「考えるリフレクション」
・文字デザインの社会史があることを忘れないでほしい。
・メディアとは、もともと人と神をつなぐ坐女のこと。
・デザイン学生は、J・Lボルヘス「神の署名」を読むべし。
・文字ではなくヴィジュアルを読み込むことが、20世紀後半の学問の主流になってくる。
・もっとかけはなれた関係を相互に結びつけてみる。
・読み解くためのエンブレムは、デザイン史の肝だね。
・ただ集めて喜んでいたのが、「整理」「啓蒙」へと転換する。
・インテリアって何だろう?・「デザイン」という言葉の原点から考え直す時期です。
・世界を知恵という鍵で開こうとした中世。
・スタフォード女史は、デザインと歴史をつなぐ手法を見せてくれました。
なぜこのような表現が生まれてきたのか?その時代の背後にある思考プロセスを読み解いていく。圧巻!
視ること、解釈すること、表現すること
自分たちが使う言葉や、文字というもの、「視る」ということとつながっている。歴史、文化からデザインを再定義するという視点でこの本を読むといいと思う。
どの文化や環境が、自分たちの物事の見方や、解釈をつくっているのか。UXデザインを考える上でも、非常に興味深いです。
それにしても、高山さんの知識量恐ろしい・・・
大学生のころに、なんでこの時代に、この表現が生まれたのだろうか・・・ということが美術館をまわっていて考えていた頃を思い出しました。その時に、この本を読んでいたら、また見方が変わっていたんだろうな、と。
視覚文化といまのコミュニケーションスタイル
歴史の中で積み上げられてきた視覚文化の延長線上には、今の自分たちのコミュニケーションや表現がある。
ピンタレストやLINEスタンプなどの、ビジュアル重視のコミュニケーションはどんな意味をもっているのだろうか?
・検索するという行為
・スタンプを使ってコミュニケーションをとるという行為
・Facebookのタイムラインに日常を切り取ってのせて、眺める行為
Webマーケティング、デザインの仕事も、ビジュアルデザインの視点ではなく
設計する情報、そこから生まれるコミュニケーションがどのような文化を形成していくのかという視点でとらえると、もっと仕事の幅は広がると思う。
ピンタレストの思考を考える。
ピンタレストの、ボードをつくる=分ける、ピン、リピンする=集める
という行動は、1760年代の分類学に近いのかな・・
なんで海外で流行っているソーシャルメディアが日本には浸透しないのか・・・そういった問いに答えるときに、物の見方、思考方法が根本的なところでは関係しているんだろうな。そこから読み解いていくと面白いだろうな、と妄想してしまいました。
表面的なデザインではなくて、文化という大きな視点からデザインをとらえ直すために
ぜひ、読んでみてください!
本の中で紹介されている本も盛り沢山なので、少しずつAmazonでポチッとしていこうと思います。