恵比寿のシェアハウス「ぱれっとの家いこっと」に暮らして2年。大阪に転勤になっても、再びシェアハウスで暮らすことを選んだ自分。シェアハウスで暮らした2年間を振り替えつつ、なぜ煩わしさを感じながらも「他人と暮らす」という選択をしたのかを考えながら整理している。
自分の中ではシェアハウスに期待していることがある。
それは「シェア」を意識することが、生活の中に人間らしさを取り戻すことにつながるのではないかということ。
ただ、よくよく考えると、「シェアハウス」であることが大切なのではない。
「生活をシェアすることでコミュニティを形成すること」の意味がある
シェアハウスブームで、シェアハウスに関する興味・関心は高まってきているけれども、本質的なことを忘れてはいけないと思う。
そのために、シェアハウスを活用してコミュニティをつくるために必要な3つのことをまとめてみた。
ここでの「シェアハウス」という言葉は、「生活をシェアすることでコミュニティを形成すること」という意味。
①コミュニティマネージャーの存在
②食はコミュニティの根源
③シェアハウス外のゆるいつながりを大切にする
①コミュニティマネージャーの存在
共有スペースがあればシェアハウスなのではなく、シェアする暮らしをマネジメントする人がいることがコミュニティをつくる上で欠かせない。コミュニティマネージャーの役割はお世話をすることではなく、コミュニケーションが生まれる場をデザインすること、コミュニティ全体の人間関係を調整すること。積極的に共有スペースの活用方法を考えて、入居者全体に提案をすることなど。
「地域」という単位でコミュニティが成り立っていた時は、必ずコミュニティマネージャーがいたはず。それは町内会長だったかもしれないし、イケイケでリーダーシップを発揮できるオバちゃんだったかもしれない。
仕事ではリーダーシップという言葉がよく使われ、重要性が認識されてきている。生活面でも、リーダーシップを発揮できる人が出てくると、豊かな暮らしは実現しやすいのではないかと思う。
②食はコミュニティの根源
食卓を囲むこと。シェアハウス内の人間関係を構築する上で、「食卓」と「食材」ほど大切な共有備品はないと思っている。一緒に食事をするためには、何を食べるかを一緒に企画して、一緒に手を動かし、一緒に食べて満足する。このプロセスが人間関係をつくる。
個人的には、食に対する価値観が違いすぎる人と一緒に暮らすことは、かなり難しい。カップラーメンを毎日食べる人と一緒に暮らすことはできない。
恵比寿のシェアハウスでも、食に感心の高い人と一緒に暮らすことができたのは、本当に自分の生活を豊かにしてくれたと思っている。
一緒に食事をとる時間を30分でもいいから共有する。簡単なことだけれど、以外と実践することは難しい。
③シェアハウス外のゆるいつながりを大切にする
入居者だけで完結したコミュニティになってしまったら、ものすごく狭い世界で生きることになる。シェアハウスの醍醐味は人とのつながりの中から、発想を広げ、創造的に生きる力を身につけることができることだと思っている。だから、地域とのつながり、外部の人とのつながりが必要になってくる。
恵比寿のシェアハウスは、よく外部の人が、共有スペースに出入りする家だった。恵比寿に暮らしながら、地域の方々とつながり、東北や福岡など地方の方々とつながることができたことは、自分の価値観を大きく広げてくれた。
自己満足で終わるシェアハウスではなく、世界が広がるシェアハウスを増やしていきたいと思う。
シェアハウスブームに乗っかって、形だけのシェアハウスがあまりにも多くなっている。
人が抱える悩みや、孤独死、コミュニティ崩壊といった社会の課題にアプローチするためには、「なぜシェアハウスなのか?」という問いが必要になってくると思っている。
大阪で第二のシェアする暮らしが始まった。
一つひとつ、自分のコミュニティを形成して、関わってきたコミュニティ同士をつなげていく。そのつながりの中でワクワクするような仕掛けをつくっていくことができれば思う。