オススメの展覧会。
フィオナ・タン まなざしの詩学@国立国際美術館
フィオナ・タンの作品は、
グローバリゼーションが刻一刻と進む中で、
私たちがどこに向かっているのか、どのようにアイデンティティを確立していくのか
といったことが大きな問いとしてあるように感じる。
人間の存在が時間や場所にどのように関わっていくか、というのがご本人の根源的なテーマのよう。
代表的な作品として紹介されている「興味深い時代を生きますように」
自身の血縁者を国境を跨いで取材し、アイデンティティを考察していく。
キーワードは、「記憶」「アイデンティティ」といったところかな。
展覧会の中で印象的だったのは「ディスオリエント」という作品。
マルコ・ポーロの東方見聞録の朗読がナレーションで入るが、映し出されるのは現代の紛争や、下請け構造の中で働く人の姿。部屋の中に画面は二つあり、もう一方には博物館の展示物が映し出されている。
東方見聞録⇄現代の記録映像⇄文化的遺産として保存されている展示物
記録された時と媒体をズラして表現することで、そのギャップから深い解釈が生まれる。
フィクションとノンフィクションを行き来することで、解釈が揺さぶられる。
パンフレットより(ディスオリエント)
第53回ヴェネチア・ビエンナーレ(2009)のオランダ館における個展で発表された作品。タイトルの「ディスオリエント」は、「方角を失う、混乱する」という意味の動詞であると同時に、「非・東洋」(否定を意味する接続詞ディス〔dis〕+東洋を意味するオリエント〔orient〕ともとらえることができます。)
ナレーションは、マルコ・ポーロ(イタリアの商人・冒険家、1254-1324)の遺した中東・アジア旅行記『東方見聞録』からの抜粋です。ヴェネチアから始まったマルコ・ポーロの旅を、2つの大きな画面で同時に映し出される現代の風景やさまざまな文物の映像とともにたどり直します。ひとつの作品のなかに、フィクションとドキュメンタリーが同居し、異なる時空間が交差する。これも多くのフィオナ・タン作品に共通する面白さのひとつです。
最近、深さのある企画って何だろうかと考えているのですが、
文化コードの理解力、過去⇄未来の時間軸をもっている、鋭い問いをもっている
といった要素が大切になってきそうだなと。
もう少しここらへんの本を読み込んでいこうと思う。